すきずき日誌 

人と自分が幸せになる為の文章を書くことを目指して勉強中 今はキックフライトの記事をメインに書いています。

ハミダシクリエイティブ2万字レビュー※ネタバレ注意

(ハミダシクリエイティブの購入者アンケートにてまどそふとさんに送りつけた二万字ほどの感想になります。完走できる方はいないと思うので、気になる所だけ目次からいくと良いと思います。一応それぞれのルートの感想については、あまりにも膨大な内容になったので読み手が飽きないように特殊な構成を取っているのでもし違和感があったらすいません)

 余談ですがそのほか良かった所については多分まどそふとさん側に送付し忘れてました。プチショック。

華乃√

華乃は一番最初にプレイすると決めていました。
体験版を最後までプレイして智宏の努力の甲斐あって最後の最後で華乃の態度が軟化したので「おっ華乃可愛いじゃん」と思ってしまったのがその理由です。駿河屋さんで注文してから届くまで気持ちが昂ぶりすぎてまだ付き合う前から常磐のことを華乃とよんでしまっていました。
 共通ルートから華乃の選択肢を全部選び万全を期して華乃ルートに突撃しました。温泉であすみのイベントが起きたときはあすみルートに入っちゃったかなとか思って焦ったことを記しておきます。

 ①全てが新鮮に見える一周目
 華乃が困っている場面からスタートしてノータイムで華乃の救援に向かう智宏がカッコイイ。当然のようにそうすべきだと肌で感じているところも良かったです。

 ②緊急事態で華乃の部屋に上がり込んで修正作業。
 眠りそうになったら思い切りぶってという華乃に対して本気でやって良い?と聞いたらやっぱりゆするくらいで……というやりとりも良かったです。こういう掛け合いが共通ルートからずっと好きです。
 その後なんとか作業を終えてこみまどに向かうかと思うとまさかのここでエロシーンが入って来てびっくりしました。私はエロゲをプレイするのは初めてだったので「あぁそういえばエロゲだからそらルートに入ったらすぐエロシーンも入るか」と変に納得していましたが後日華乃ルートだけがおかしかった事に気づくのはまた別のお話。改めて見直すと最初からすごいフルスロットルな展開だなあと思います。普段強気な華乃がしおらしくなって可愛らしい様子を見せるのは反則だなあとも。

 ③すんでの所で未遂に終わって、こみまどに向かったのは良い感じに焦らされました。
すんなり付き合えるんだ?という風に思った所でお預けを食らった訳だったので。その後のこみまど編もそんなに長引かずに終わったので恋の行方が気になって仕方が無い私的にはテンポが早くて良かったです。

 ④めちゃくちゃ印象に残っていた「タイミングやぞ」編
 私目線ではどうみてもこの後付き合う流れにしか見えてなかったんですけど、まさかの保留展開にびっくりしました。ただ智宏の思考も分からないでもないなあと思いました。何となくで付き合ってしまったらどこかで別れてしまうんじゃないかなという風に思ったのかも知れませんし、作中では触れていませんでしたが華乃の温泉での会話を聞いてしまっているので尚更華乃が自分に対して男性として好意を持っていると思いづらかったのかなあとか。

 ⑤付き合う事が未遂に終わったので若干華乃の好感度が下がっちゃったのかな?と先の展開に不安を抱きかけましたが、そのあとまさかの居座っていちゃいちゃする展開があったのは良かったです。共通ルートから相変わらず不安が生じるとすぐ解消してくれる、(読み手に)優しい展開なのも良かったです。
「お、俺は楽しかったけど」からの「私も楽しかった」は破壊力が抜群でした。魔性の女過ぎます…… 何の気兼ねもなしに好きに過ごしていてそれがお互いにとって楽しい時間ってのはやっぱり二人の相性が良いんだなあって改めて思って嬉しくなりました。なんかこう、精神的な結びつきが強いというかココも共通ルートから一緒で一番ヒロインの中で似たもの同士的な所が感じられたので。恋人で有りながら友達でもあるみたいな距離感が好きです。あと華乃が付き合ってないのに気持ちはもう付き合ってるつもりなのが全く隠せてないのも良かったです。
「考えてみれば、助走ナシで飛びこむよりも、助走も楽しんだほうが、のちのちいい思い出になりそうだしね」も素敵な言葉だと思いました。思い描いていた展開とは違っていたかもしれないけど、それはそれで思いの外良かったと華乃自身が言うのが良かったです。

⑥大きく人間関係に変化が生じた際にすぐさま妃愛に相談するのも好きなポイントです。私は共通ルート終盤で妃愛にはかなり感情移入してしまっていたので妃愛に隠し事をしないですぐ伝えたのは良かったです。そっから妃愛が智宏の為に上手く生徒会での人間関係を調整しようとしてくれた所とかも本当妃愛が良い子過ぎて株が上がりっぱなしでした。その後の生徒会会議でもフォローしたりしてましたし。


そして告白までの流れ
⑦智宏の部屋で昨日みたく過ごすのかと思いきや、智宏の何気ない一言から華乃の身の上話に。ここ一周目では全く気づかなかったんですが、
“「って言っても、普段着なんて陽キャの子たちに見せる機会なかったけどね! 結局私、耐えきれなくて部屋にこもっちゃったし」”
で華乃が表情を変えるときに絶妙に涙を溜めてるんですよね。声だけ聴くとそんなにまで悲壮感は無かったので見逃してたんですがこういう細かい所の描写も好きだなあと思いました。
また華乃の過去話については、なんというか上手いことミスディレクションが働いていたなあと思いました。出会ったときに聞いていた自己紹介でのエピソードで完結していたと思っていたのでまさかそれ以上のものが出てくるとは予想もしていなかったです。惹き付けられる良いサプライズでした。直前までギャグテイストの会話をしていた事や華乃自身が乗り越えたい壁とかないとか言ってたのもそれに一役買っていたなあと思いました。


⑧告白シーンは何もかも良かったです。智宏が変に格好付けずに素直に智宏らしい言葉で気持ちを伝えるところも良かったですし、それに対して華乃が緊張した面持ちから笑顔に変わって返事をするとも大好きでした。「もうっ……推しと付きあえたりなんて、普通ありえないんだからね」とちょっとおどけた返事をするのも可愛い。「自分の過去の出来事を知ってもらうのっていいね。転校してからあんたと離れて過ごした時間を、これで埋められた気がする」この台詞もロマンチックで好きでした。
ここら辺のシーンは二周目で見たときでも、あまりにも濃厚にお互いがいちゃいちゃしすぎるので私の感情が高まりすぎて大変でした。人は許容範囲を超えた感情を長く流し込まれるとこうなっちゃうんだとびっくりするくらい感情を動かされるシーンでした。



“以前に同級生だったころの自己紹介を思いだすと、華乃は明るく元気で物怖じをしない子だった。世間の荒波に揉まれてしまったけど、これが本来の華乃なんだ。”

この言葉もかなり印象に残ってました。この言葉は本当に好きです。私の中で華乃ルートで一番好きな地の文かもしれません。
すごくすごく時間はかかってしまったのかもしれないけれど、いつからか見せなくなった本当の自分を見せても良いと思える相手を見つけることが出来た、みたいな感じで良かったです。
「大切にするための約束がこの行為なんだと思う」
「何で急に詩人?」というやりとりもなんだか凄く好きです。そこから「好きって気持ち」に繋がるところも。


⑩そこからアフターいちゃいちゃから少し真面目なお話に移る、こういう流れが相変わらず好きでした。智宏の自立に関する話。
妃愛が稼いできてくれたお金で遊ぶ事への罪悪感、それについて華乃が「え、ごめん。ほんと今さらだね?」って否定せずに言うところは良いなあと思いました。多分この場では智宏もそういう風にいって欲しかったかもしれないですし。相変わらず高校生なのによく考えてるなあと智宏の考え方は尊敬できるところがいっぱいです。


“「私たぶん、私基準で無神経な人が苦手なんだと思う。私はすごく臆病で、いつも何かを警戒してるから。一度『あれ』って思ったらいつまでも気にしちゃう」”
は、こう読んでいると自分自身結構ヒヤッとしました。人間はどこかで悪気が無くても失敗してしまうものだと思っているのでどこかでぼろが出てしまうんじゃ無いかなとか思ってしまったので(厳密に考えるとこうは言っているけど華乃は案外気づいて謝れば許してくれるのかも知れないですし、普段の行動からそういう振る舞いがなければ稀にやってしまった時は許してくれるのだとも思いますが)。
でもだからこそ、そんな華乃の気質に応えられた智宏の存在は華乃にとって理想的なパートナーなんだろうなという風にも解釈出来て、カップリングの唯一感というか運命を感じられて良かったなと思います。


“華乃って、もし自分の見た目のことで嫌な思いをせずに育ったら、こんな風に可愛い女の子として振るまいたかったんだろうな。
だけど、もし華乃が人懐っこくてアクティブな性格なら、こんなに可愛くて胸の大きい子を世間が放っておくはずはないので、俺なんて付きあえなかっただろう。
華乃がした嫌な思いを肯定するつもりはないけど、その結果、こうして俺の恋人になってくれたんだから、巡りあわせのようなものに感謝しよう……。“

 ここもかなり好きです。前半部分の華乃のIFに思いを馳せるところと後半部分の、巡り合わせへの感謝……。マイナスな思い出にプラスな意味合いを見いだすという考え方が私自身とっても好きなのでこういう言い回しは大好物です。プラスかマイナスかじゃなくてどっちもある、みたいな感じで良さを感じました。


いちゃいちゃしながら智宏も努力を重ねていく……そんな日々を過ごしていく中で華乃が智宏の為に生徒会の出し物としてライブペイントをやりたいと伝える場面も好きです。

 お互いがお互いの為に行動を起こしあう関係は本当に見ててカッコイイなあと思いました。そしてイラストという自分の領域のこととなると智宏には中立でいて欲しいというカッコよさ。魅力が多すぎますね華乃は。


二度目のサプライズは華乃の登校でした。

共通ルートで一緒の教室で過ごしたことはあったんですが、それでも恋人の関係になってから過ごすってのはまた別の味があって良かったです。青春を感じました。
見返せば見返すほど、なんで予想できなかったかなあなんて苦笑いしたりもしましたが(チャプタータイトルで予想できても良かったのに……)。
あと「そうだよ。だから、登校できずに途中で引きかえしてたら、公園でお弁当食べる寂しい子になってた。ちゃんと来られてよかったよ」も何だか言い方が妙に可愛くて印象に残ってます。


“「華乃が学生生活の間にしてみたかったことは、多少駆け足でも全部やろう……あと1年半しかない」”

も智宏の好きな台詞の一つです。まあその後華乃に謝られちゃうんですが。
華乃は感情が昂ぶってしまうとつい言い過ぎてしまう事もあるというのが体験版の最初からのイメージでしたが、本人からするとやっぱり冷静になってみると言い過ぎたなあと思ってしまっている所はあるんだなあというのがここで分かったのは良かったです。
一番最初に華乃の家に上がり込んだときに言われた「あんたのせいで……」の下りについて他のルートで智宏と仲良くなっている華乃が謝る場面も見たいななんて気持ちも無いでは無いんですが、何というか華乃目線で言うと智宏がそこを真面目に捉えすぎているというのがむしろイレギュラーで、実際にはそんな訳がないから智宏もそう深く捉えすぎないで忘れていると華乃が思っても不思議ではないんですよね。だから華乃からすると謝りづらいのかなとか、もしくは忘れているのかなとか、描写していないだけでどこかで言っているのかなとか。そういう風に考察も出来るのでここの描写は良かったです。


⑯夏休み以来に結集する二度目の生徒会会議では、あすみが上の空で雑談を聞き流していた理由が一週間悩んでも分からず煩悶としてましたが(この後の立場を考えていた説、詩桜先輩を警戒してる説、本業での悩み説、妃愛とこっそりコンタクトを取ってた説、智宏との距離の取り方が分からなくなってた説など謎は深まるばかりです)、それはさておきその後の会議であすみが智宏の言葉を引き出すキッカケになっている所は本当にこの子は良い子だなあと思いました。(ここでも智宏の気持ちを汲んだ説とあすみ√を見た後に浮かんだ華乃への恩義から助けた説が私の中で混在しています)

⑰文化祭に向けて本腰を入れた準備を始める生徒会。そんな中敵(陽キャ)が来襲して一旦解散に
案外もっと長く華乃の作業パートだったり生徒会パートが続くのかなと思っていたので思いの外早く華乃といちゃつけたのは良かったと思います。あとまさか体験版のHシーンがここで来るとは思ってなかったです…… どれだけ先取りしていたんだ……と驚きました。

⑱帰り際、よりよい出し物にするために智宏にお願いをする華乃
「もしすぐそばに好きな人がいてくれたら、頼もしいなって思ったんだ」
 素直に言葉に出してお願いできる華乃も好きですし、不安がありながらも
「わかった、やる」とすぐに応える智宏も良くて本当にこの二人の関係は良いなあと思いました。
「二人でステージに立つ」っていうのはやっぱり王道で心惹かれるものがありました。
それも智宏が未来のために踏み出した一歩(自立したいという想い)があったからこそ実現できた面もあると思うとまた胸が熱くなります。

⑲その後の展開で華乃が自分の絵を馬鹿にされながらも萎縮せずに開き直れた所では、
“「それでも華乃は、あれほど隠したがっていた「オタクであること」をオープンにされても、脅えなくなった。それがなんだか、俺には嬉しかった。」”
という智宏の気持ちにもぐっときました。正直ぶんなぐって良いんじゃ無いかなとか思って見てましたけど(絶対殴っちゃだめですけど)

⑳最終段階。生徒会お泊まり編
 華乃ルートは青春みを凄く感じます。みんなで学校に泊まり込みで作業をするとか考えただけで非日常のわくわく感が凄かったです。しかも華乃ルート最初の頃のお泊まりイベントを彷彿させるという所もあってこの展開は本当に良かったです。
そして当日の昼、いよいよ華乃の出番が始まろうとするという時。初見の際に引き締まった静寂から不意に「ぬかるみに向き合うとき」が流れ出してすっごく高揚させられた事を覚えています。ちょっと聴き入ってしまいました。カッコイイBGMにカッコイイやりとり、期待値が途轍もなく高まる瞬間でした。

㉑ 華乃のステージが始まってから最初の方で、あまり観客ウケが良くない所をりりり子さんという不確定要素が絡んで良い方に好転した、というのは何というかリアリスティックで個人的には好みでした。勿論成功して欲しい気持ちもあったんですけど上手くいって欲しい場面で100%上手くいくなんてことは人生ではあまりないと思うのでりりり子さんというプラスアルファがあった事で上手いこと観客を引き込めたという展開は私的にはポイントが高かったです。まあでもそれがなくとも智宏が上手いことやってくれてたかもしれないよなあとか今までの姿から思えないこともないですが。

 クライマックスでのイラストについてはいや反則やろと思うくらい凄い一枚絵が出てきて心を揺さぶられたのを覚えています。想定していたのはもっとこう生徒会のメンバー全員が書かれているイラストみたいなものだと思っていたので、逆にドストレートで華乃そのものが描かれていたのはびっくりしました。しかもそれが未来の華乃であるという解説や登校への決意を聞いて華乃が着ているのが普段の制服ではなくて冬服(?)なのはそういう事かと理解して情緒がぐちゃぐちゃになったのを覚えています。
……そしてそんな風に情緒をぐちゃぐちゃにされた後に、華乃が智宏に対して後付けで多少盛ったとか言ってきたのはかっこつけすぎなくて良いなあと思いました(当時はいや、あそこまで俺泣いたんだからもっとその事実は隠してくれと思わないでもありませんでしたが)。

㉒クラスの出し物を手伝う流れ
 正直、文化祭の舞台を大成功で締めた時点でお話が終わってしまっても全然ノープロブレムだと思うんですが、そこにクラスの出し物を手伝うという展開を入れて来た所はニクいと思いました。一度普通の学校生活からハミダシてしまった二人がどんな形であってもクラスの輪に入れたというのは凄く特別な意味があるように感じて良かったです。華乃が普通の学校生活に憧れがあったのもあって尚良かったです。そして改めて思い返して見ると広夢の存在も結構大きくて智宏と広夢の繋がりがあったからこの展開に進んでいけたのかなあとも思いました。
 
㉓Every day
一番最初に入った√だからというのもあるかもしれませんが、一番泣きました。
歌詞がえぐかったです。何というか本編ではいっぱい華乃と一緒に笑って過ごしてきた印象が強かったんですが、EDではしっとりとした華乃の心情が歌われていてそのギャップにやられました。智宏が華乃のために幾度となく頑張ってきたのを見てきた上で華乃から智宏へのそういった思いを改めて聴くと情緒が破壊されるくらいこの二人の関係って良いなあもう、という感じでした。
 歌っているのは別の方だと思うのですが、声音がかなり華乃に近かったのでもう華乃が歌っているんじゃないかなと思えるくらい歌詞も歌も良かったです。




総評
一番最初に華乃ルートを見終えて、凄く充実した気持ちになったのを未だに覚えています。
終わってしまった事が受け入れられなくて、ちょっとした喪失感を抱いたり。そこまで没頭させられていました。

お話として、恋愛要素が一番強いルートでそれでいて何度でも読み返したくなるようなシナリオだったなあと思います。好きがいっぱい散りばめられていて、それが最後までぬかりない。

華乃自身の人物像もかなり良かったです。失敗したりもするけれど素直で、思ったことは口にしてくれて、それでいて喜怒哀楽を惜しまず出してくれて、一緒にいて楽しくて。とっても親しみやすくて好きでした。

あと華乃の過去の出来事から、華乃にとって「可愛い」という言葉には特別な意味があるっていう所も好きでした。他の人からすると何気ない一言かもしれないけれど華乃自身は特別な価値を感じている…… 好きなお話でした。

私は全く絵を描けないのですが、Twitter上で絵を見る機会は多いのでその裏側が見れた感じがして面白かったです。クリエイティブ要素があることでシーンが圧迫される……ような感覚もなかったので自然に描かれていて読みやすかったかなと思います。絵、塗り、創作、コスプレ等バラエティに富んでいて面白かったです。
また智宏が恋人相手でも妃愛については譲れない部分が幾度となく見えていたというのもとても良かったです。どうしても付き合うことで華乃の序列を一番上に考えてしまえそうではあるんですが、そうせずにちゃんと妃愛の事を念頭に置いているという主人公の考え方にやはり好感が持てました。
 
 華乃と天梨の関係がすごく進展していっているのもとても好きでした。華乃にとって同級生で同性の友達というのはずっといなかったのでそこに新しい関係が築けたのは今後の華乃の為にも良かったなと思います。

私がハミダシクリエイティブを購入する上で、漠然とした期待があったのですが、華乃ルートを読了した際に、「なるほど顧客が望んでいたものを最高品質で届けてくれたな」というような印象を抱いたような記憶もあります。期待していたものを大きく正当進化させて超えてきたなあという感じで良かったです。またこのルートを見たことで私の中で感じていたこの作品のクオリティに関する心配は一切合切霧散しました。この作品は信用できる……!と力強く思うことが出来たのも覚えています。
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妃愛√


好きなチャプターランキング

一位「兄妹ぼっち」
妃愛が一番最初のシンポジウムでの失敗を強く引き摺っていた事が事前に明かされていて、そこに意識を取られていたところでこの展開はびっくりしました。一貫して妃愛と智宏の関係は良好なものとして話が進んでいたので昔からそうだったのだろうと私的には疑問を挟む余地は無かったのですが、そうではなかったのが明かされたのは衝撃でした。寝耳に水でした。
序盤にあった回想シーンでの
“「お兄がいないと私はぜんぜん駄目だった。ぜんぜん大丈夫なんかじゃなかった……」”はその時は何気なく読み進めていてふつうに良いシーンだなあという風にしか思っていなかったのですが、兄妹ぼっちを見た後で見返してみるとそういう事か!となって驚きました。
 たくさんの事を乗り越えてきて、智宏と結ばれてほとんど何でも言い合えるような強い関係になっていても、ここに来てまだ抱えていたものがあったのか……という妃愛の強さに改めて感服しました。最後の最後まで妃愛には驚かされっぱなしだったなあとも。
ずっとずっと一人で抱え込んでいた妃愛の心中を察するとやっぱり妃愛の事が愛しくて愛しくとたまらなくなりました。終わりのほうでは智宏が劇の終わりに簡潔ながらも公開告白をするという所も良かったです。そしてそれが二人だけにしか伝わらないメッセージだったという所もロマンチックで素敵でした。

その後智宏が、妃愛の投げかけた問いに対して真摯に応えた所も良かったです
「お父さんとお母さんがいなくなったのは、誰のせいでもなく事故だ。自分の言葉で両親の人生を変えてしまったなんて、二人の人生を軽く考えては駄目だ」
「俺はもう妃愛と結婚するって決めてるから、何があっても妃愛のことは嫌いにならない」
 妃愛が抱いていた自分のせいで両親が亡くなってしまったという点についてはちゃんと冷静に否定しつつ、それでも食い下がる妃愛に対して愛情を以て応えるというパワープレイ。本当に長い付き合いがあって結ばれた二人の関係だからこそ覚悟や重みを感じる事が出来て良かったです。

 

一位「生まれたときからそばにいる」
圧倒的イラストの暴力! ウエディングドレスを着た妃愛が輝く一番好きなイベントCGです。良い……と体の芯から感じているんですけど上手いこと言語化出来ません!
 妃愛のウエディングドレスを着ている姿、いつもとは違う大人びた髪型、胸に手を当てている仕草、こっちを見る表情!何もかもが美しいです。
妃愛に、最愛の妹にウエディングドレスを着せるというシチュエーションの最高さと目の前に映る最大級に綺麗な姿の妃愛が最高に良いシーンでした。
”「私、誰に聞かれても答えるね。将来の夢はお兄のお嫁さん。子どもみたいな夢を抱えたまま大人になるんだ」”
”「アウトでもいい! キスして!」”
 この二つの台詞もまた好きでした。


一位「牛魔王は豚が好き」

“その告白を終えたとき、かなりの精神力を要したのか、もともと弱りきっていた妃愛は、俺の体にくたりと寄りかかった。
そんな妃愛を一人で立たせるのは気の毒だけど、肩を掴んで、自分の胸から引きはがした。驚いた表情の妃愛の顔からは、不安がありありと見てとれた。
俺に拒否されると、少しでも思ったのだろうか。不安にさせて申し訳ない気持ちでいっぱいだ。脅えて歪んだ眉を見ると胸が痛い。
でもすぐに幸せな顔をさせてみせる。運が良かったのは、部屋ではなく食堂で渡そうと……タンスの引き出しにプレゼントを隠していたことだ。
こんな展開を少しも想像していなかったのかな……想像できるわけがないか。妃愛の前に小さな箱をかざすと、ようやくその顔から脅えた色が消えた。
だけど、表情は驚いたままだ。今よりもっと驚いて欲しくて、妹の目の高さで小さな箱の蓋を開けた。“

ハミダシクリエイティブ全編を通して一番好きで素敵だと感じた文章です
前半部分で不安な妃愛の心情を描写してから一転、でもすぐ幸せな顔をさせてみせる の力強さと、運が良かったのは……であっそういう事か!と読み手に指輪のことを示唆して期待を一気に高まらせて、こんな展開を少しも想像していなかったのかな……のいたずらっぽさ。はじめて見たときからこの文章に目と心を奪われました。何度も何度も見返しました。妃愛ルートを語る上では私の中で必ずといって良いほど思い出すシーンです。文章の力って凄いってこの齢になっても感じることがあるんだなって感心しました。


共通ルート終盤での妃愛とのやりとりだったり兄妹愛というテーマから、一筋縄ではいかないという風に予測しても良かったはずなんですけど、そうは思わずに華乃ルートみたいなほのぼの展開なんだと思って読み進めていました。
見返せば見返すほど丁寧に前振りがされていたんですよね。凄く前向きな文章が多かったですし……

妃愛の誕生日に帰ってきた妃愛に指輪をプレゼントする。そんな予定が朝の時点で示されていて、私はこれから起きる告白シーンに心をウキウキわくわくしていました。妃愛がお仕事に向かってから指輪を買いに行って喫茶店で一息つくところでまさかの展開。私も嘘だろと智宏と同じ心境でした。この時に流れていた「時と時の狭間で」は一番緊迫感があって恐かったです。今でもこのシーンを連想してしまうほどに私の中で強く印象づけられました。
 家に帰ってきて、生徒会のメンバー(部外者含む)がLIMEをかけてきた所は良い緩衝材になっていたと思います。特に詩桜先輩の発言が面白くてちょっと和みました。

 妃愛が帰ってきたとき、今までの妃愛の強さを知っていて更に最近の関係性の進展から辛かったら辛いというんじゃないか、という風に思っていたので気丈に振る舞う妃愛を私も最初は疑いませんでした。でも、やっぱり大丈夫な訳は無くて。それでも自分からは決して弱い姿を見せようとしない妃愛の強さは凄いなとも思いました。
そして智宏の機転で自然に妃愛の言葉を引き出そうとする智宏。この後のシーンの迫力は凄かったです。
妃愛の泣き声混じりの言葉を聞く度に涙があふれ出てきて。ゲームでエンディング以外でこんなにまで泣かされたこと無いってくらい泣きました。こんなにも自然にたくさんの涙が出てくるんだってくらい泣かされました。

あと卵を投げられたという部分に目が行きすぎて、「妃愛が命の危機を感じるくらい恐怖を抱いていた」という点に思いが及ばなかったのは我ながら反省しました。

そしてここから冒頭で引用した展開に繋がっていく……大好きすぎるお話でした。
このお話だけで一旦切って、二週間くらいこの余韻を味わいたいなってくらい感情を揺さぶられました。心を動かされました。今日起こった不幸な出来事を、その後にプラスな出来事で上書きする……っていうのも私的にはかなり好みの展開でした。











総評

妃愛ルートでは、妃愛が今ままで以上に苦境に立たされて、弱った姿が見え隠れするようになっていましたが誰よりも妃愛の事を知っていて、愛しているが故に、その都度一番力強く妃愛がかけて欲しい言葉を伝えていた智宏の姿がとてもカッコ良く映りました。またこの二人の絆の強さというのをそのたびに実感出来て良かったです。

また二人の関係性を生徒会の人間にすら伝えなかった部分についてもかなり好きでした。勿論伝えて認めてくれて祝福される展開も好きですが、それは実現するにしてももう少し後の話になるのかなとか。
あすみは案外普通に受け入れてくれそうだなあとか、華乃は常識人の感性もあるから動揺しそうだなあとか、詩桜は受け入れそうだけどどう思っているか分からないなあとか、天梨は理解できるのかなあとか、ミリさんが一番強敵そうだなあとかそういう風に考えるのも楽しいです。
周りがどう思うか分かった上でそれでもお互いを愛することは揺るがない……という決意もかなり好きです。

妃愛があすみをやたら引き合いに出して嫉妬するのも可愛かったです。

鍵アカ騒動の際はあの事件が逆に二人の関係性を加速させたプラスの出来事にもなったという点では良かったです。

妃愛の成長とかそういう面で考えてみればもっと他の人間を信じられるようにする為に智宏以外の男性(大人だったり)と良好な関係を築くとそういう方向性もあると思うんですが、そうではなくて智宏とつきっきりで閉鎖的な人間関係の中で幸せな日々を過ごしていくという形が完璧すぎないで良かったです。

盤外のお話になりますが、発売直前の生放送で、妃愛はちゃんとした妹で血が繋がっていますと明言してくれていたおかげで妃愛ルートで一層感情移入することが出来たと思います。
本編でも血の繋がった妹と結ばれることについてちゃんと智宏が考えを巡らせているところが、勢いだけに任せないでちゃんと本気で考えているという覚悟を感じさせてくれました。妃愛のバックボーンや智宏と妃愛の独特な家庭事情から、兄妹恋愛という現実離れしたお話でありながらも説得力を強く感じましたし、強くこの二人が幸せに過ごしていくことを切に思えました。

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あすみ√

総評

どう見ても共通ルートの時点でお互いの好意が漏れ出しすぎていると思いましたが(良い意味で)、ルートに入ってからも告白まですぐは行かずに段階を踏んでいたのは良かったです。またHシーンまでの間隔も結構自分好みの長さで、良い塩梅でした。付き合う展望が一番見えていた組み合わせだったのもあって期待は大きかったのですが、外に出てデートする回はとても良かったです。もっと欲しいくらい。

割と共通ルートまでだと生徒会での錦あすみ要素が強かったんですが、ルートに入ってからはクリエイターとしての錦あすみだったり過去のあすみ等、知らなかったあすみの顔が見れてより好きになることが出来て良かったです。
あすみが自分に厳しくて抱え込んでいる面についても、確かに振り返ってみればあすみは自分に対して良く否定言葉を使って喋ることが多かったのはそういう面があったからなのかと納得出来ました。またあすみ自身、智宏の事が好きであってもそれでいて自分の中で譲らない強いものを持っているという点だったり、Vtuberについても智宏と同じくらい大事に思っている所にあすみの意思の強さというのを感じられて良かったです。

お話全体の感想としては優しいルートだった、というのが最初に出た感想でした。
あすみも優しいですし、皆もあすみに優しいですし、ストーリーの展開のしかたも前もって丁寧に嵐の前触れを教えてくれていましたし。
またあすみが智宏のことを自然に認めていて、何度でも言葉にして良い所を伝えようとしていたのは所が良かったです。智宏もどのルートよりも前向きでいきいきしていたように感じました。

妃愛との関係については、妃愛からすると、親友と家族という関係値が一気に変わってしまうので大丈夫かなあと思ってしまう反面、あすみが家族の一員として入ってくる事で妃愛が智宏と結ばれなかった未来でもあすみと智宏と妃愛の新しい家族という形で長く続けられるんじゃないかなという風にも思えて良かったです。

またあすみが他の子に比べてかけだしのクリエイターだったという事もあって一番クリエイティブ要素が強かったように感じました。恋愛面以外での考え方だったり行動が凄く示唆性に富んでいたというか、勝手にメッセージ性を感じてしまったというか、「この考え方分かる!良いなあ」と思うシーンが多かったのが印象的で良かったです。


あすみ√好きな台詞


「こんな子と付きあえたら幸せだろうなって、何度も考え
てた」
「こんな人と付きあえたらきっとすごく心が安らぐんだろ
うなって、ずっと思ってました」
「一生懸命頑張ってる錦さんが好き」
「私も、がんばってる先輩が好きです」
「私で、いいんですか……?」

良い……
智宏の言葉と同じ思いを抱いていたあすみという図が素敵でした。
一番長くお互いを想い合っていた関係だったので結ばれるときのハッピーエンド感も良かったです。また告白をした時の、「私の好きは恋人としての好きで……」は智宏が自分を恋愛対象として見ていないんじゃ無いかというあすみの不安な気持ちと、ちゃんと恋人として結ばれたいという意思が籠もっていて良かったなと思いました。


「投稿するときは、どんな内容でも不安になります」
「変なところがないかな、誰かを傷つけるような言葉にな
ってないかな、ちゃんと見てもらえるかなって」
「この投稿から急に見てもらえなくなったらどうしよう、
嫌われたら、飽きられたら……そんな風に思いながら投稿
することも少なくないです」

 誰かを傷つけるような言葉になってないかな、は私も文章を書く上でかなり心を割いている要素なのですごく分かるっていう気持ちになりました。自分が傷つけられた経験があったからこそ人の気持ちにより寄り添える考え方が出来ているのかなと思いました。


私は今の先輩を好きになりました、私の好きな先輩が未
熟なんだとしたら……先輩が成長したときは、きっとと
んでもなく好きになってしまいますね」

こういう所は積極的ですよね、あすみは。
一歩間違えば恥ずかしく感じるような台詞であるのに、それを全然感じさせない自然体でこの言葉を発するあすみは魔性の女かもしれないですね。


「願ギマルという人からは普段の放送のままなかんじの
DMが来たのでスルーしてます」

貴重なあすみの呆れ顔が見れました。


よし、この流れだ…!
ありがとう忠勝! ありがとう小松姫
…………。
文化祭の下調べでもするか……。

賢者タイム智宏。
…………。
の絶妙な間が好きです。


⑥「そんなことないです。先輩でなければ、今の生徒会はあ
りませんでした」

 強く肯定してくれるあすみ。自分が認めている存在からその言葉をかけて貰うことは智宏にとって凄く嬉しいことだと思います。

⑦あすみは俺が恋人であることを恥じないでいてくれる。
付き合っているのだから当たり前のような気もするけど、
なんだか嬉しかった。

あすみ自身が智宏を高く評価しているので(本人の自己評価とは裏腹に)、恥ずかしがるどころかむしろ誇らしげに感じているそんな様子が見て取れて良いなと思いました。 

⑧「聞くよ。あすみも俺がそうしてたら、聞いてくれるでし
ょ?」

あすみが弱音を吐きやすいように、言葉を選べる智宏のカッコ良さが相変わらず光ります。

⑨「客観的に見たらそう思う人もいるかもしれない。でも、
俺になら言ってもいいんだよ。俺はあすみの味方だから。
一緒にもっといい方法を考えよう」

 理屈の上ではそうなのかもしれないけれど、俺は味方だから全然話しても大丈夫なんだよって伝え方が技あり一本ですね。弱っている人の心に寄り添う術を心得ている智宏からは学ぶところがたくさんあります。

 ⑩「せんぱい……あの、私、こんなに優しくされて大丈夫な
のかなって、不安になっちゃいます……」
「これまであすみが我慢しすぎだっただけだよ」

 この台詞を見たときに、思わず私も今までのあすみが頑張りすぎていただけだ、と思っていたので智宏と伝えたいことがリンクした貴重な瞬間でした。
 あすみは自分に厳しい面があるので、今まで一人で乗り越える事が当たり前と思っている節があってだからこそこんな風に優しくされてしまう事は駄目な事なんじゃないかとか他の人に比べて恵まれすぎているんじゃないかとか思ってしまうのかもしれません。
でも、そうじゃなくてあすみが今まで我慢しすぎていただけで、むしろ今こういう風に優しくされる事の方が自然なんだよっていう風に優しく包み込む智宏の言葉は良かったです。 
そして、もしそれが信じられなくても、俺に対して弱音を吐くことは大丈夫だという事を信じて欲しいと誘導してあげる所も素敵でしたね。

 
⑪「今回の件で、私は雪景シキを続けられなくなるかもしれ
ません。でも、そうなっても、また何かを始められる気
がします」

これ以外にも、生徒会の出し物の案出しの際にあすみがやらないと言い出すかも知れないけどやってみたいと伝えた所や智宏がぶいさいんから抜ける選択肢もあるという事を伝える部分も含めて、物事に取り組むときの考え方として特にすごく共感できる部分でした。物事を失敗か成功かで考えたり、一つのものを絶対と考えすぎてしまうとどこかで心が疲れてしまうと思うので、こういう考え方は大事にした方が良いとしみじみと思います。
 

⑫くじ引きから始まった生徒会、最後の大仕事である文化祭
当日を迎えていた。
紆余曲折あってここまで来たが、思い返してみればそこま
で悪いものでもなかった。むしろ……前に進む力をもらえ
た気がする。
このままいい経験だったと締めくくれるように、最後まで
しっかりと仕事をしよう

めちゃくちゃ前向きな智宏の言葉。今までの出来事をこんな風に思えるようになったのは智宏自身の成長と生徒会の面々、そして何よりあすみの言葉の数々のおかげなんだろうな
という風に思えました。


⑬やってみたら、できるもんなんだな。妃愛の言う通りだった。
ただ、みんなの助力があってこそだった。俺には特別なも
のは何もなく、一人では到底全うすることができなかった
役目。
それでもやってみようと思えたのは、妃愛がいたからだ。
そして最後までしっかりとやろうと思えたのは、あすみが
いたからだ

これもかなり好きな文章です。
妃愛の為に生徒会を始めて、妃愛に励まされながら前に進んでいって、色んな人に支えられながら一つの成果を残すことが出来た。キッカケをくれたのは妃愛で、その後やりきるところまで頑張れたのはあすみのおかげだったという所が良いですね。どっちかだけでじゃなくて両方あったからこそここまでこれた……みたいな。

その他抜粋
「私も、今ならひよりんも……頼れる先輩も居るから、違いそうですね」

「人前で歌おうとして、2回も失敗して、それでもまだ私、
どうしても歌が歌いたかったみたいなんです。ほんと、馬
鹿だなあって自分でも思います」
さすがにそこまでいくと、錦さんの味方の俺も笑ってしま
った。

あすみの過去のことは、あすみに全く落ち度がなかったと
は言えないかもしれない。でも、彼女は彼女なりに戦って
きた。

「現実が怖い人でも、親しみやすい存在だって思いました」
「雪景シキとして活動しているときはずっと、この存在が
現実と向き合う前の一つのステップになればいいなって気
持ちは持っていたんです」

 「ありがとうございます。先輩の言葉は、いつも私を助け
てくれます……」

「私には先輩がいました。先輩が、外に出るのも悪くない
よて私に教えてくれました。今度は私が、たくさんの人
にそれを伝える番です」
「先輩、私にたくさんのチャンスをくれて、ありがとうご
ざいます。本当に、ありがとうございます」

先輩は、もう少し自信を持っても大丈夫です…

「そうだ。君一人の力でここまで来たわけではないが、こ
こまで皆を引っ張ってきたのは紛れもなく君だ。自信を
持つといい」

次は……いや、仮に生徒会でなくとも、和泉君が何かに
取り組むとき、もっと上手くやれるようになっているよ」

「かっこいいじゃないか」

『目の前の世界が怖い人は、もう一つの世界でがんばって
もいいと思います。どんな世界だって、認められたら自信
が付くんです』
『自分が活躍できる場所で、自分を見つけていくことがで
きれば、それが一番いいと思っています』

「先輩が応援してくれたからです。先輩のお陰で、前に踏
み出せました。ありがとうざいます」

何も生徒会だけが活躍の場ではないよ

「先輩が、私に挑戦するチャンスも、勇気もくれたんです。
先輩、私に勇気をくれるのはいつも先輩です。本当にあ
りがとうございます」

「先輩、普段は何事も面倒くさそうにしてますけど、いざ
動くとなったら行動力があってすごいなって思います」

「おやすみなさい!」

「もはや人間としての尊厳は捨てました。明日から植物として生きます。よかったら先輩の部屋に飾ってください」

「いやっ! 音楽が好きという意味で、特定の個人を指して好きと言ったわけでわ!」

「でも、作った曲も、歌った歌も、それに込めた気持ちも、聞いてくれる人がいなければ、なんの意味もありません」

「私もひよりんに遠慮しないから、ひよりんも私に遠慮しないで」

「えへへ……」

「えへへー」

「少し嬉しそうにしていました。特に母がそうでした。父は嬉しくないふりをしてました」

「あ、私もいいですか、待ち受け」

「かいちょー! 鎌倉詩桜愛好会が詩桜先輩を申請してる!」

異種格闘技戦ヴァーリ・トゥードで決行するんだな。今から楽しみだよ」

何なのこの人……この人は連れて行くべきだったんじゃないの?

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詩桜√

総評

いちばん最後にプレイした√でしたが、どの√とも似ていない独特な内容だったなと感じました。

智宏がいつになく積極的だったり失敗が多かったり、たくさんのキャラクターがお話に絡んできたり、予想外のアクシデントがあったりとよりどりみどりのたくさんの要素が詰まった良いストーリーだったと思います。

なんといってもまずはどのルートでも明かされなかった生徒会長就任の種明かしのインパクトは凄かったですね。(妃愛ルートをクリアした後にハミクリで検索して詩桜ルートには大きな謎が明かされるみたいなネタバレくらってたのでちょっと身構えていましたが)
序盤であった、
“「そうか……ただの甘ったれかと思っていたが、君も苦労して育っているんだな……」”
という台詞も、この時点だと智宏の甘ったれな部分というのはあまり詩桜の前では見せていなかったと思うのでそこも伏線だったのかなあとか見返しながら思いました。
 どちらかというと、詩桜の過去についての掘り下げがあって詩桜が生徒会を放り投げた件は解明されるのかなあとか思ってたので結構現実的な裏事情があったというのは意外な展開で良かったです(詩桜の本当に嫌がらせのためだけに放り投げたという部分だったり愛宕さんの妃愛のための思惑だったり)。あと他のルートで智宏がミリさんに感謝している一文とかの良さが光ったりと全部のルートに波及するストーリーだったなあと思います。

また共通ルートでは他のヒロインに比べて魅力を掘り下げる部分が限定的だったように感じたので、ルートに入ってから詩桜の考え方だったり意外な一面だったり優しい表情だったりと供給がたくさんあったのは嬉しかったです。旅館に泊まるところで絶対告白の流れにいくだろうと思ったらまさかのお流れしたのは驚きましたけど。でも告白シーンが遅くなればなるほど告白シーンが盛り上がる部分もあるのでそれはそれで有りでした。

また詩桜ルートであるのに、華乃の存在感が強かったりミリさんの抱えていた事情があったり、妃愛との関係もまた変わってきたりと詩桜だけじゃない、いわば「生徒会ルート」ともいうようにも感じました。智宏が生徒会長になった意味合いが明かされる詩桜ルートにおいてそういうお話になっているのはなんだか面白いなあとも思いました。

また詩桜は智宏にとってヒロインの中で過去との接点が無い関係なので、ゼロから始まる恋愛という感じで良かったです
そのせいか色々と空回りしてしまったり、付き合う前から詩桜に相応しい男になるために努力を重ねたりする姿が見えたりとか他のルートだと見せない姿が多く見られたような気がして面白かったです。……まあ年上との恋愛という要素も大きく関わっていたとも思いますが。
あとは余談ですが、華乃の存在感が大きかっただけに、約束の海イベントを経由して詩桜ルートに入ることが出来ないところについては良く考えられているなあと感心しました。気づいたときになるほどな!となりました。



詩桜ルート好きなチャプター

「月が綺麗ですね」

 智宏がミリ先生から事の次第を聞いて詩桜の家に乗り込むという最初期を思い出させる展開は良かったです。
智宏の評価が最初は最悪だったが実際に会った時から実は好印象を与えていたというのは結構な驚きでした。全然そんな風には見えなかったので。

“「君と触れあう度に、愛しさと罪の意識に挟まれて、胸が締めつけられた。午後になれば帰る君を見送るときは、ここで暮らしてしまえと何度も言いかけた」”

 好きだったけれど好きと伝える事が出来なかった詩桜の心情を考えると凄くこみ上げてくるものがありました。ガードが堅かった訳では無くて、好きでも好きと言えなかったという所が旅行の時そういう風に思っていたのか!というように過去に波及する展開で良かったです。
、智宏に好きと伝えられなかった部分に関して本来は障害は無いのですが、詩桜自身が恐らく自分は付き合う資格が無いという風に考えて踏みとどまっていたんだろうなと思うと一層詩桜の事が好きになるなあとも思いました。

またやはり、智宏自身が詩桜の事を好いているから「謝って欲しくない」という風に伝えた所も好きでした。カフェで手伝いをしている時だったり、生徒会室で謝った姿を見たときだったりと事前に似たシーンがあった事から自然に智宏の謝って欲しくないという気持ちを理解する事が出来て良かったです。
また好きな人が頭を下げるところをみたくないという簡潔かつ力強い一言で、詩桜が抱えていた大きな荷を下ろさせたというのもなんというか気持ちを伝える大切さを感じました。
言葉を重ねる事も大事だけれど時にはストレートに伝えるのも大事、みたいな感じで。
“詩桜先輩は少し子どもみたいに笑った。転校生が、休み時間の教室で、初めて「一緒にドッジボールしよう」と言われたときのような、そんな笑顔だ。”
これも詩桜ルートで一番好きな文章です。笑う詩桜の表情と相まってとっても良いシーンに思えました。本当に心の底から、自然に出てきた笑顔のようであどけなさが感じられて良かったです。

話が一段落した後に、事情が事情とは言え智宏が詩桜より華乃を選んだ部分について詩桜が追求してくる所は、半分本気で半分甘えているような声音で可愛らしかったです。私もそこは詩桜が汲み取ってくれているだろうと智宏の言い訳と同じ心境だったので、結構気にしている風な詩桜のしおらしい姿は良かったですね。







詩桜ルート驚いたチャプター
「蒙古襲来絵巻」

バックログを二度見しました。スピードも緩めているものだと読み間違えてました。
途端に妃愛ルートが始まったのかとも思いました。
妃愛ルートでは自分が傷つけられても堪えようと我慢していた妃愛が、智宏の事となると感情を露わにして声を張り上げるという姿を見せていて衝撃を受けました。この場面は、妃愛ルートを見たあとだと一層心にくるものがありました。
また少し感傷的な見方をすると、詩桜が今まで行ってきた因果が残酷な形で帰ってきてしまったのかなとも思いました。詩桜が智宏にした嫌がらせだったりという過去の過ちが、(勿論当人間では話がついていて智宏からすると気にしなくてもよいので別に罰を受ける必要もないと思うのですが)巡り巡って詩桜ではなく詩桜の一番大事な智宏に対して降りかかってきてしまったのかなとか。
 また、この出来事を通して妃愛との関係性に何かしらの良い変化が生じたっぽいのは良かったです。
それ以外でもこの出来事がキッカケで智宏は文化祭を全う出来なくなってしまいますが、結果として後々に詩桜との+1年を生むのだと考えるとまあ悪いだけの出来事ではなかったかなという風にも考えられて良かったです。


好きなエピローグ
「桜の詩」

一番好きな生徒会ENDです。詩桜が正式に生徒会に加入してわだかまりのないみんなが幸せな空間でこれからまたしばらく過ごせるのだと思うと箱推しの私からすると感無量のものがありました。
さすがに詩桜が留年して学校に留まるなんて発想は全く予想はしていなくて、でも詩桜の口からそっちの方がお得じゃないかみたいな事を聞いてみると本当にそうなんじゃないかなと思えてしまって何だか不自然さを全く感じなくて良かったです。
 これから先に今までの分を取り返そう、じゃなくてもう一度同じ形で好きな事をしようという考え方も好きでした。めちゃくちゃここから先の生徒会のお話が気になります。
「私は名字で呼ばれるのが苦手なんだ。『詩桜』と呼んでもらいたい」をここに持ってくるのも凄く感慨深くて良かったです。

「指定はしていなかったなあ!?」でりりり子さんを撃退するオチも大好きでした。





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そのほか良かった所
アクシデントの描き方

私は登場人物が辛そうに見え過ぎてしまう展開が苦手なので結構そこらへんは辛い評価になってしまうのですが、ハミダシクリエイティブに関しては全体的にかなり気を遣って描かれているなという風に感じましたし全然マイナスに働かなかったので良かったです。
アクシデント系が苦手な理由は、私は好きな作品は何周もするので、一周目は結構何が起こるか分からない状態で見るので判定は甘々になるんですが、二週目以降はある程度どういう流れかを知ってしまっているので、少しでも苦手な展開だと自分の中で不安を膨らませてしまったり、早くその場面を終わらせてしまいたいと思って集中できなくなってしまうので。

最初の離散展開についても、あすみはそもそも怒っているわけでは無かったですし、華乃もむしろ今まで以上に強い関係として改めて勧誘し直すという展開に繋がっていたのは良かったです。ちゅうぶらりん状態が長引かない所も大きなポイントです。
「!?」展開についても、何だか剣呑な雰囲気でしたがBGMは割とギャグテイストな感じだったので切迫感はあまり無かったので安心して見れました。
あすみとどきどき温泉パニックについてはバレ展開とかにならなくて本当に良かったです。

華乃ルートでは最初のお泊まり回では華乃自身が割と強気な姿勢を保っていたりしたので安心して見れました。
乱入者Aが華乃に暴言を吐いたところについては、前にも智宏に文句を言ってくる人物が居たことからまたそんなに大事にはならないだろうと油断していた事も有って全然不穏な気配を感じなかったのと華乃が堂々と言い返した事から、急に始まって急に解決したので特に不安な気持ちになることも無く見れました。
華乃ルートは一番安定感があったので、凄く見返しやすいお話だったなあと思います。

妃愛ルートは、まあ色々起こりまくりますが一応それがキッカケでプラスな事も起こったり、甘々な展開になることも多かったですし、そしてスピーディであまり長引かせなかったので良い感じでした。

あすみルートは、味方サイドの第三者によってアクシデントが引き起こされるのはちょっともやもやする事もありましたが、日程を間違えてしまった事でこんな事態にはなってしまっていたがそれでも結果的に二つの祭典に参加する事が出来るようになったというプラスな間違いという風に智宏がちゃんと注釈してくれたところは良かったです。
一番最初の電話も、とんでもない事が起こっているとみせかけての(本人にとっては一大事なんですが私としてはもっとやばい事件性を連想しましたし)アレでしたし、また垢バンを示唆しておいて不安な気持ちにさせながら大丈夫でしたっていう形でもっていったのは良かったです。


詩桜ルート
……ギリギリ一杯セウトですね。
好きなキャラクター同士が諍うのは見ていてかなり辛いので私の中では結構上位に位置するギルティなんですが、まあ他のルートではこんな展開ありませんでしたし、智宏が生徒会を選んだのも意外で良かったですし、詩桜自身も後で結果として謝れて良かったと華乃に感謝している面があったのは良かったですし、ここまでしないと詩桜の気持ちを引き出せなかったという風に解釈も出来るのでまあ良かったかなと。考えれば考えるほどちゃんと描かれていましたし、頭でそれは分かっているのですがそれでもまだ少しだけこの展開を恐いと思ってしまっている自分の弱さが敵かもしれませんね。
 蒙古襲来絵巻については智宏の苦しむ描写を抑えてくれていたのは助かりました。

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共通ルートの簡易感想

ちょっと時間が無いので簡略化します。コンシューマー版の感想フォームでもっかい丁寧に書き直そうかなと思います。

~体験版終了時点まで
妃愛とあすみの存在がかなり強かったです。体験版の部分をひさしぶりにプレイしてみると妃愛とあすみが出てくる場面の良さがかなり光っていたかなと思います。まだ華乃や詩桜は好感度が低い状態だったので。この二人に序盤はとっても魅力を感じていたんだなあと改めて実感しました。


共通ルート 
詩桜スタートなのは虚を突かれて面白かったです。
体験版部分だといまいち好感を持つのが難しい所があったのですが、ここで話を聞いて貰う事で世話焼きな部分も見えて良かったですし、また詩桜ルートを見た後だと別に智宏を突き放しても良さそうな場面であるのにそうしなかった部分で最初期との心境の変化のようなものを感じられて良かったです。智宏の根幹に関わる話を詩桜にあっさりと話していた所と、それを詩桜が肯定してくれた所も好きです。

選択肢を含まないイベントだと、ボランティア合宿は凄いわくわくしました。
ぶっちゃけ普通に生徒会室で過ごして共通ルートは終わりなのかなと思っていたので。
それぞれの趣味嗜好的にミスマッチなロケーションでしたけど、やっぱり海は映えますね。
温泉イベントもエロシーンに見せかけてめちゃくちゃ重要な会話を繰り広げていたりしていた所も良かったです。
気の合う仲間達と過ごす非日常はやっぱり最高ですね。

選択肢イベント

詩桜との勉強会
ここは真面目にやらなんて赤点を取って変な分岐をするんじゃないかという謎の読みで初見時にこの選択肢を選んでいました。詩桜先輩もノリが良くて、距離感が凄く近く感じられて良いお話でした。謎に妄想上で華乃が登場してきたり良いところでミリ先生が登場してきた所はすごく楽しかったです。


約束の海

「なんでこれが必須イベントじゃ無いんですか!?????」
選択肢を選んだ先の展開としては一番好きなお話です。華乃が初めて智宏の自宅に足を踏み入れるという点でめちゃくちゃわくわくしましたし、無邪気にはしゃぐ華乃も凄い可愛いですし、一方でちょっと意識しちゃってるところも可愛くて本当に良かったです。
「こっちはもう覚悟してるんだから、やれって言ってるでしょ。早くしなさいよこの、隠れ生主陵辱配信。あんたの性癖、錦さんにバラしてもいいわけ?」
「ごぶッッッ!」
「おるァ!!!」
の流れもここだと一番好きです。何度見返しても笑ってしまいます。

このイベントを必須にしちゃうと華乃に分岐しづらくなってしまうのは勿論分かってるんですけど……分かってるんですけどこのお話を華乃ルートで振り返りたかったなあとも(未練)
余談ですが、逆に二回目の勧誘時に常磐を先に説得する事が必須イベントだったのはルートに入った後に気づいてびっくりしました。約束の海と先に説得のどっちかがフラグかなあと思っていたので。まあそれだと二つとも華乃ルートで話に出せなくなってしまうので必須イベントがあって良かったですね。
しかしそんな約束の海も実は選択肢を選んだときの文章で智宏が
“「人目なんて気にしたことないしオシャレも特に意識してないです」という謎のプライドを誇る女の子を見るたび に、いや意識しなよと普通に思う。”
という風に言っていてそこに関して結構華乃の考えと似ている部分が提示されていたのは良かったです(告白シーンの時の伏線がまさかここで貼られていたとは……)


妃愛

生涯養ってもらう
いずれは自立するつもりでいる

とんでもないシーンを持ってきてくれたなあ!??って思った場面でした。
唐突にえらい選択肢が出てきたので、リアルにりりり子さんみたいに「ぎりぎりぎりぎりぎりぎりぐぐぐぐ」みたいに歯ぎしりしつつ葛藤して数分間画面とにらめっこする羽目になってしまっていました。リアルでこんな状況になることあるのか……と自分自身にもびくりしました。
 華乃ルートにいく気持ちが出来上がっている所にこのシーンを持ってこられた私の気持ちが分かりますか!?? まんまとやられましたわ……
 悩みに悩み抜いて結局いずれは自立するつもりでいるを選んでしまいましたが(結局この時点だと実はプラタイアを見ていなかったのでどっちを選んでも変わらなかったのは笑い話です。)、この選択肢のせいで妃愛の事が気になって気になってしょうがなくなって華乃ルートでも妃愛に意識を多少持っていかれましたし結果的に予定より早く妃愛ルートに進むことになってしまいました。とんでもない破壊力を持ったシーンだったなあとしみじみと思います。

「でもお兄は、きっと素敵な恋人を見つけて、いずれ我が家を出ていってしまうよね。同棲なんてしちゃうかもしれない」

「なので、いずれお兄は自分でアルバイトなどを始めるよ。当面の間は学業と遊びを両立させられるだけのお金もあるし、生活には困らないよ」

ここらへんの妃愛の言葉もかなり刺さりました。実際、この後だれかしらと結ばれるのは決定事項みたいなものなので、妃愛の言っていることが本当に実現するんだろうという予測がついたので一層現実味を帯びてきて妃愛の気持ちを考えるとすごく感情移入してしまえる場面でした。



天梨は体験版の頃の印象と最後まで見た印象では大きく差がありました
最初は、天梨自身は悪くないのですけれどトラブルを巻き起こすような雰囲気をまとっているような感じがして少し苦手に思っていました。
それでも進めていくと、お茶目な所とか雰囲気を明るくしてくれる所とか大事な所で凄く頑張ってくれる所とか色んな魅力があふれ出てきて普通に好きになっていきました。また途中から参加していていたのにも関わらず全く違和感なく生徒会に溶け込めていて良かったです。

そのほか

汎用イベントが無かった所

文化祭に向かうという大筋は一緒であってもルート毎に結構特色があったのは面白かったです。
智宏が表彰される事が描写されるのは華乃ルートだけだったり、詩桜がめちゃくちゃ智宏を見直すのはあすみルートだったり、生徒会より恋人の為に努力する道を選ぶのが華乃あすみルートだったり、それぞれのルートで独特な供給がされていて良かったです。

そんな風に同じような展開というのがあまりなかったので、逆にちょっとした共通の展開とかがあるとニヤリと出来て良かったです(華乃とあすみルートで価値を変換して伝えるというようなテーマを扱ったりだとか、華乃と妃愛で主人公の容姿に似たような言及をする所があるとか、マイクを持ってEDに入るところとか)。

・共通ルートで智宏が華乃に求められて助っ人に行く際に、二人できゃっきゃうふふ出来るとか考えないで現実的に人手を確保しようと天梨を誘う提案をした所も良かったです。



個人的に感じた所

重箱の隅を箸でつつく感覚です

・妃愛の演じるキャラクターが大体性転換された人物だったんですけど、私は信長の野望とか三国志系統のゲームを結構嗜んでいたのでどうしてもおっさんの顔が浮かんでしまって可愛さを感じることが難しかったです

・システム上難しいと思いますが、ロードした後に再びロード画面を開くと直前にロードしたページでは無く最後にセーブした画面のページから参照されるので複数回ロードして見返したいときはちょっと不便かなあと思いました。

・また、セーブデータとお気に入りボイスの複数選択削除もあると便利かなと思います。もしかしたら気づいてないだけかもしれないですが……

・システムボイスのボイステストのレパートリーがもっとあっても面白いかなと思いました。

・EDで出てくるCGはもう少し序盤~中盤のものも多めだと良かったかも知れないです。
終盤の方の記憶はまだ覚えているほうなので、良い感じに忘れ気味の記憶を刺激してくれると嬉しかったです。本当はCG以外の場面を思い返したくもあるので、台詞付きの立ち絵でも良いのかなとも思いますがそれだとちょっと没頭感が損なわれるかもしれないので立ち絵だけで上手いこと表現できないかなと素人ながらに思いました。

・文化祭で良い感じに晴れやかな気分になってEDに向かいたいところでHシーンが挟まれるのは私的には頭の切り替えが難しくてうむむという所でした。勿論、後々見返したりする時は絶対必要だと思いますし抜くことはあり得ないですが(Hシーンだけに)、おまけ要素とするとかだとスムーズに見れたかなあとか思いました。

・詩桜ルートは詩桜とのいちゃいちゃがもう少し見たかったです。学園内で腕を組むシーンとか良かったので。ただ他のどのシーンも削りがたいとは思うので紙幅上しょうがないかもしれないですが。

・左京学園 は中学校なのか高校なのか小学校なのかよく分からなくてちょっと混乱してしまいました。

・関係ないですけど癖でセーブデータを横順に保存してしまっていたんですがあれは縦で保存するのが正解なんですよね……?